2026.03.02
月刊ぬりかえDr.コラム値上げ時代を生き抜くカギは「目利き力」
こんにちは。ぬりかえDr.くんです。
最近、スーパーでも、ガソリンスタンドでも、そして建築の現場でも「また値上げしたな…」と感じる場面が増えてきました。中には、わずか1年で価格が2倍以上になったものもあります。
建設業界も例外ではありません。資材、人件費、運送費。どれをとっても、値上げの話題ばかりです。そんな時代に、住まいとどう向き合えばいいのか。今日は少し立ち止まって、その話をしてみたいと思います。
住宅に関わるものは、ほぼすべて値上げされている
住宅づくりに使われるほとんどものが値上げされています。象徴的なのがコンクリートです。建物の基礎や壁に欠かせない材料ですが、1立方メートルあたり数千円から1万円近く値上がりしています。建物が完成する前、まだ基礎工事の段階で、すでにコスト増が決まってしまう。そんな状況です。
今後はコンクリートに限らず、鉄骨やALCなどの建材、そして職人さんの人件費も上がっていくでしょう。さらに働き方改革の影響で、職人が現場で作業できる時間は限られ、工期はどうしても長くなります。時間が延びれば、費用もかかる。とてもシンプルな話です。
「だったら今は、家にお金をかけないほうがいいのでは」そう感じるのも無理はありません。ただ、住宅やリノベーションの費用が今後下がる可能性は、正直あまり高くないとも言えます。
建築業界も、静かに二極化が進んでいる
値上げの影響を受けているのは、施主だけではありません。工務店やゼネコン、そして職人さんたちも同じです。
技術があり、人とのやり取りも丁寧な職人さんは、仕事が途切れません。忙しくなり、結果的に収入も安定していきます。一方で、柔軟さに欠ける職人さんは、少しずつ現場から姿を消していく。そんな流れが、静かに進んでいます。
発注する側の工務店やゼネコンも同様です。きちんと利益を出せている会社には、良い職人が集まり、施工の質も上がる。すると評判が広がり、また仕事が増える。反対に、無理な値引きで仕事を取る会社は、工期も人もギリギリになります。結果として、品質が下がり、信頼も失っていく。この差は、これからますます大きくなっていくでしょう。
「選ぶ側」にも、考える力が求められる時代
こうした状況の中で、ひとつ大きく変わったことがあります。それは「業者を見極める責任が、より施主側に移ってきた」ということです。以前は、どこに頼んでも価格も品質も大きくは変わらない、という感覚がありました。でも今は違います。説明や見積書をそのまま信じ、金額だけで決めてしまうと、後悔する可能性も高くなっています。
これからは、少しだけでも建築のことを調べ、「この説明は納得できるか」「この進め方は自然か」と考える力、いわば「目利き力」が必要になります。
たとえば支払い方法ひとつとっても、着手時と完工時の2回払いが当たり前、と思い込む必要はありません。途中工程ごとに支払う形にするなど、施主側から提案してもいいのです。大切なのは、「慣習だから」ではなく、「納得できるかどうか」です。
値上げの波は、「目利き力」で乗り越える
これから先、建築に関わるコストは、まだしばらく上がり続けるでしょう。その中で後悔しない選択をするためには、「安いか高いか」ではなく「なぜその金額なのか」を考えることが大切です。施工の質、説明の姿勢、対応の誠実さ。そうした目に見えにくい部分を感じ取る力が、これからの住まいづくりでは大きな武器になります。
値上げの時代だからこそ、流されず、焦らず、よく見る。それが、住まいを守るいちばんの近道なのかもしれません。

